地震の「72時間」とは?救助までの備えと寝室で考えたいこと
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この記事でわかること
- 災害時に言われる「72時間の壁」とは何か
- 阪神・淡路大震災で、救出までの時間と生存率がどう変化したのか
- 閉じ込められた人を襲う脱水・低体温・クラッシュ症候群
- 大地震では公的な救助がすぐに到着できないこともある
- 救助につなげるために重要な「生存空間」という考え方
- 就寝中の地震に備えて、眠る場所そのものを守る方法
「72時間の壁」とは何か
大きな地震が起きると、ニュースなどで、「72時間の壁」という言葉を耳にします。これは、倒壊した建物などに閉じ込められた人を救助するとき、時間が経つほど、生存した状態で救出される人の割合が低下していくことから使われている言葉です。ただし、「72時間を1分でも過ぎたら助からない」という意味ではありません。72時間を超えてから救助された例もあります。反対に、発災直後でも大きな外傷や圧迫によって命を失うことがあります。
それでも、国の防災基本計画では、発災当初の72時間は、救命・救助活動において極めて重要な時間帯とされています。
だから、消防。警察。自衛隊。自治体。なども、発災直後は人命救助へ多くの人員や資機材を投入します。
阪神・淡路大震災では、時間とともに生存率が大きく低下した
1995年1月17日の阪神・淡路大震災では、倒壊した建物などから、多くの人が救出されました。東京消防庁が紹介している記録では、地震当日に救出された604人のうち、生存していた人は486人。生存率は80.5%でした。ところが、1日後は28.5%。
2日後は21.8%。3日後には、5.9%まで低下しています。もちろん、これは阪神・淡路大震災で救出された人についての数字です。
すべての地震で、同じ割合になるわけではありません。それでも、救出までの時間が長くなるほど、生きた状態で救出されることが難しくなっていったことが分かります。だから、救助する側が一刻も早く現場へ向かうことはもちろん、閉じ込められる側にとっても、「救助が来るまで生きて待てる状態を残せるか」が重要になります。
「人間は水なしで3日だから72時間」だけではない
72時間について、「人は水を飲まなければ3日ほどしか生きられないから」と説明されることがあります。でも、人間の生存限界を、一律に72時間と決めることはできません。気温。湿度。年齢。健康状態。負傷の程度。出血。
身体が圧迫されているか。水を飲める状態なのか。条件によって大きく変わります。閉じ込められた人にとっては、脱水だけではなく、低体温や身体への長時間の圧迫など、さまざまな危険が時間とともに重なっていきます。だから、72時間という数字だけを見るのではなく、その時間をどんな状態で過ごすことになるのかまで考える必要があります。
閉じ込められた状態では「脱水」も問題になる
倒壊した建物の中に閉じ込められれば、自由に水を飲めるとは限りません。さらに、呼吸・発汗・出血などによって、身体から水分は失われます。特に、暑い時期や高温の場所では、脱水や熱中症の危険も高くなります。負傷して動けない。

水が届かない。救助まで時間がかかる。そうした条件が重なるほど、身体への負担は大きくなります。
冬の災害では「低体温」も大きな問題
阪神・淡路大震災は、1月17日の早朝に発生しました。冬の災害では、身体が冷え続けることも命に関わります。

暖房が止まる。身動きが取れない。十分な衣服や毛布がない。雨や雪で身体が濡れる。こうした状態が続けば、体温が下がる可能性があります。
特に、高齢者。乳幼児。けがをしている人。などでは、さらに注意が必要です。つまり、72時間という時間だけではなく、どのような環境で救助を待つのかも重要です。
長時間の圧迫で起こる「クラッシュ症候群」
地震災害で、特に知っておきたいのが、クラッシュ症候群(挫滅症候群)です。倒壊した柱や梁などによって、脚や腕などの筋肉が長時間強く圧迫される。
すると、圧迫された筋肉が大きなダメージを受けます。その後、救助によって圧迫が解除されたときに、損傷した筋肉からさまざまな物質が血液中へ流れ、不整脈。腎障害。ショック。などを起こし、命に関わることがあります。つまり、救出できたから、その瞬間ですべて安心とは限りません。
長時間、身体に大きな重さがかかり続けない状態をつくることも重要です。
阪神・淡路大震災では372人のクラッシュ症候群が分析された
阪神・淡路大震災では、クラッシュ症候群が大きな問題となりました。大阪大学などの研究では、372人のクラッシュ症候群患者が分析されています。そのうち、死亡したのは50人でした。つまり、「372人がクラッシュ症候群で亡くなった」という意味ではありません。372人の患者を調べた結果、50人が死亡したということです。この数字からも分かるように、倒壊物によって身体が長時間強く圧迫されることは、救出後まで命に関わる問題です。
大地震では、救助隊がすぐに来られるとは限らない
家屋の下敷きになったら、消防。警察。自衛隊。が救助してくれる。もちろん、公的な救助は非常に重要です。でも、大規模な地震では、同じ地域で非常に多くの救助要請が一斉に発生します。道路が壊れる。火災が起きる。通信が混乱する。
救助する側も被災する。こうした状況では、すべての現場へすぐに救助隊が到着することは難しくなります。
阪神・淡路大震災では、自分や身近な人による救助が大きな役割を果たした
阪神・淡路大震災で、生き埋めや閉じ込め状態から救助された人について、誰に助けられたのかを調べたデータがあります。
自力で脱出:34.9%家族:31.9%友人・隣人:28.1%通行人:2.6%救助隊:1.7%でした。この数字は、「消防や警察が役に立たなかった」という意味ではありません。あまりにも多くの被害が同時に発生し、公的な救助だけでは、すべての現場へすぐに対応できなかったということです。だから、大規模な災害では、自分で身を守ること、近くにいる人同士で助け合うこと、公的な救助。
そのすべてが必要になります。
救助がいつ来るかは、自分では決められない
救助が、1時間後に来るのか。10時間後なのか。翌日なのか。自分では決められません。だからこそ、地震の前に考えておきたいのが、「救助が来るまで、人がいる空間を残せるか」ということです。そこで重要になるのが、生存空間という考え方です。
生存空間とは「人の身体に大きな荷重が直接かからない空間」
建物が大きく損壊したとき、柱。梁。屋根。壁。などの大きな荷重が、人の身体へ直接かかれば、重大なけがや圧迫につながります。
一方、人の周囲に空間が残れば、倒壊物の大きな荷重が身体へ直接かかるリスクを減らせる可能性があります。もちろん、空間さえ残れば、必ず助かるわけではありません。負傷。火災。水分。体温。空気。救助までの時間。さまざまな条件があります。
でも、救助につなげるためには、まず、人がいる場所を押しつぶされにくくすることが重要です。
阪神・淡路大震災では、直接死の77%が窒息・圧死
阪神・淡路大震災では、直接死5,488人のうち、4,224人、77.0%が窒息・圧死でした。もちろん、「生存空間があれば4,224人全員が助かった」ということではありません。倒壊の状況。けが。火災。年齢。
救助までの時間。それぞれ条件は違います。この数字から考えたいのは、家屋倒壊によって身体へ大きな力がかかることを、できるだけ避ける必要があるということです。
特に考えておきたいのが、寝ているときの地震
阪神・淡路大震災が発生したのは、午前5時46分。早朝でした。地震は、人が起きている時間を選んでくれません。

深夜。早朝。熟睡しているとき。そんな時間に、突然大きな揺れが始まることがあります。さらに、気象庁によると、震度6強では、立っていることができず、はわないと動けないほどの揺れになることがあります。揺れにほんろうされ、動くこと自体が難しくなる場合もあります。つまり、「目が覚めたら安全な場所へ逃げればいい」という考え方だけでは、強い地震に対応できない場合があります。
まずは住宅と寝室を安全にする
寝室の地震対策で、まず行いたいのは基本的な対策です。家具を固定する。背の高い家具を寝床から離す。重い物を頭上に置かない。
ガラスの飛散防止をする。住宅の耐震性を確認する。そして、住宅そのものに問題があるなら、耐震診断や耐震改修を検討する。
これが基本です。そのうえで、本格的な耐震改修がすぐに難しい場合などには、人が長時間いる場所に、生存空間をつくるという方法があります。国土交通省も、すぐに本格的な耐震改修を行うことが難しい場合の安全確保策として、耐震ベッドや耐震テーブルなどを紹介しています。
いつもの寝床に、救助へつながる空間を
TETUNOMA(鉄の間)は、強固な鉄のフレームの内部に布団やマットレスを敷き、普段からその中で眠る耐震シェルターベッドです。いつもの寝床に、命を守るための強い空間をつくります。

眠っている身体の周囲に空間を残すことを考え、鉄骨の組み方から接合部まで設計しました。毎晩の寝床にあらかじめ強さを備える、という考え方です。
眠る人の周囲に、強固な鉄の構造を
家屋が大きく損壊したときにも、眠っている人の周囲に生存空間を残す。その目的から生まれたのが、TETUNOMA(鉄の間)のフレームです。
身体の周りに空間を確保することを、救助とその先の暮らしへつなげたい。大切な人が毎晩使う家具だからこそ、構造の強さを追求しています。
TETUNOMAの耐荷重試験では最大131.7トンを記録
一級建築士でもある建築学教授2名の立会いのもと、専用の大型油圧試験機で耐荷重試験を行いました。センサーやモニター、映像で荷重と変形を確かめ、最大131.7トンを記録しました。
設計や計算で終わらせず、実際の試験で強さを確かめる。眠っている人の周囲に、命を守るための空間を残したい。その想いを、鉄の構造に込めています。
耐荷重試験とは別に、住宅倒壊試験も行っている
さらに、131.7トンの耐荷重試験とは別に、開発段階では、現在のTETUNOMAと同じような構造を持つ鉄骨を使った住宅倒壊試験も行っています。屋根や壁などを実際に倒壊させ、家が崩れるときに近い衝撃を鉄骨へ加えました。その試験でも、鉄骨が壊れず、内部の空間を確保できることを確認しています。大きな重さへどこまで耐えられるかを見る耐荷重試験。
実際の家屋倒壊に近い状況をつくる住宅倒壊試験。違う方法で、倒壊物に備える構造の強さを確認してきました。
繰り返し試験を重ねて、眠る空間を守る力を追求しています。大切な人が毎晩使う家具だからこそ、強さにも妥協しません。
72時間の前に「最初の瞬間」がある
防災では、最低3日分。できれば1週間分の、水や食料を備蓄することが推奨されています。これはとても重要です。
でも、72時間の壁を考えると、その前に、もう一つ重要な段階があります。地震が起きた最初の瞬間を生き延びること。
水を準備していても。食料を準備していても。非常用持ち出し袋を準備していても。倒壊した建物によって身体が強く圧迫され、動けない状態になれば、それらを使うことはできません。だから、家具を固定する。住宅を耐震化する。寝室を安全にする。
そして必要なら、眠っている場所そのものに生存空間を用意する。いくつもの対策を重ねることが大切です。
救助につながる空間を、いつもの寝床に
人命救助で大切にされる発災後の72時間。その時間へつなぐために、まず人がいる空間を残したいと考えています。
TETUNOMA(鉄の間)は、強固な鉄のフレームでいつもの寝床を囲む耐震シェルターベッドです。普段は心地よく眠る家具として。万一に備える強さも、毎日の暮らしの中へ迎えていただけます。

毎日眠る場所に備えを加える家具
寝床に倒壊物への備えを加える強く、美しい"空間"を。
耐震シェルターベッド『TETUNOMA(鉄の間)』
私たちは、寝床に備えを加える家具を作っています。
日心製作株式会社
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TETUNOMA(鉄の間)のある暮らしを見る
いつもの寝具で眠り、寝る前は本を読んでくつろぐ。写真と実物映像を見ながら、あなたの寝室に迎えた姿を思い描いてみてください。
写真の出典
- David Pursehouse / Earthquake Survival Kit / CC BY 2.0
- Atsushi Tadokoro / Futon (9455233917).jpg / CC BY 2.0