地震で家族と連絡が取れないとき|63歳の夫婦が決めた安否確認の約束
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家族の安否確認と、寝室に備える安心
電話をかければ、妻の声が聞ける。私は、ずっとそう思っていました。
けれど、地震のニュースが流れたある午後、メッセージに返事が来ないだけで、落ち着かなくなりました。迎えに行くべきか。それとも、ここで待つべきか。長年一緒に暮らしてきた私たちには、その答えがありませんでした。
連絡できないときに、何を頼りに行動するのか。63歳の私が妻と話し合い、小さな約束を作り始めたのは、その日の夕飯のあとでした。
YouTube「地震で家族と連絡が取れないとき、あなたはどうしますか?」も、このページでご覧いただけます。
返事が来ない午後、玄関で足を止めた
私は仕事を退き、妻と2人で暮らしています。妻は週に2度、隣の町の合唱教室へ通い、その間、私は庭の手入れや夕飯の買い物をします。
「帰りにパンを買ってくるね」
あの日も妻はいつものように出かけ、私は台所から「気をつけて」と答えました。何十年も一緒に暮らしているのだから、お互いのことは分かっているつもりでした。
昼過ぎ、テレビで離れた地域の地震を知りました。私のいる場所では大きな揺れは感じませんでした。それでも、画面に映る街を見ているうちに、妻がどこにいるのか気になりました。
「今、教室?」と短いメッセージを送りました。返事がありません。電話をかけ、呼び出し音を聞きながら玄関の鍵に手を伸ばしました。教室までなら車で行ける。そう考えたところで、足が止まりました。
もし、ここでも大きな地震が起きていたら。道路の様子も分からないまま、私は同じように出ていくのだろうか。
しばらくして、妻から電話が来ました。「歌っていて、かばんの電話に気づかなかったの」。いつもの声を聞き、肩の力が抜けました。けれど、笑って終わりにすることはできませんでした。
何も起きていない今日でさえ、返事がないだけで慌ててしまう。本当に電話がつながらなくなったら、何を頼りに動けばよいのか。私は、そのとき初めて自分の準備のなさに気づきました。
迎えに行く前に、妻と話しておきたかったこと
夕飯のあと、私は妻に聞きました。「地震のとき、連絡が取れなかったらどうしようか」
妻は湯飲みを置き、「あなたなら、迎えに来ると思っていた」と言いました。私も、そのつもりだと答えました。すると、妻はこう続けました。
「でも、危ない道を通って来てほしいわけじゃないよ」
妻が望んでいたのは、私まで危険に近づくことではありません。お互いが無事で、そのことを確かめられることでした。
大きな災害のあとには、電話が集中してつながりにくくなることがあります。返事がないことだけで、家族に何か起きたとは判断できません。それでも、慌てたときに冷静でいられる自信はありませんでした。
だからこそ、話せる今のうちに約束を作る。私は小さなノートを食卓に置き、妻は教室でもらった連絡先の紙を持ってきました。
最初に決めたのは、連絡する前に自分のいる場所で身の安全を確保することでした。揺れている間に電話を探して歩き回らない。安全を確かめてから、使える方法で短く状況を伝える。この順番を、2人で共有しました。
171を知っているだけでは、伝言を残せなかった
私たちは、いつものメッセージに加えて、災害用伝言ダイヤル171を試すことにしました。災害時につながりにくくなった電話の代わりに、音声の伝言を残し、家族が聞くための仕組みです。
まず、伝言の登録・確認に使う電話番号を2人で決め、紙に書きました。私だけが番号を決めても、妻が知らなければ、どの番号の伝言を聞けばよいか分かりません。2人が同じ番号を頼りに探せるようにしておくことが大切でした。
毎月1日と15日などには、171の体験利用ができます。次の体験利用日に、私は音声案内に従って実際に電話をかけました。録音と再生では操作が違い、初めての操作に少し戸惑いました。
「急がなくていいよ」。隣で妻が声をかけてくれました。私は「無事です」と言ったあと、何を話せばよいか分からなくなりました。連絡の方法を知ることと、伝える内容を用意すること。その両方が必要だったのです。
体験利用日や提供条件はNTT西日本の171体験利用案内をご覧ください。災害の発生状況により、体験利用ができない場合もあります。
「無事です」のあとに、何を伝えるか
もう一度、食卓で伝言の中身を紙に書きました。私たちが残そうと決めたのは、次の4つです。
| 自分の状態 | 無事か、けがや困りごとがあるか。 |
|---|---|
| 今いる場所 | 自宅、教室、避難先など、相手が分かる場所。 |
| これからの行動 | その場で待つのか、安全な場所へ移るのか。 |
| 伝言の時刻 | いつの状況なのか、聞いた人が判断できるように。 |
練習では、自宅が安全で待機できる場合を想定しました。
「私は無事です。自宅にいます。家の様子を確かめて、今はここで待っています。午後2時に、この伝言を残しました」
録音した伝言を妻に聞いてもらうと、「それなら、今どこにいるか分かるね」と言ってくれました。長く話すより、必要なことを短く伝える。私は練習をしてみて、その大切さが分かりました。
それから、迎えに行くことについても話しました。返事がなくても、すぐに車で探しに出るのはやめよう。まず自分の安全と周囲の状況を確かめ、外出先では施設などの案内に従う。家が危険なら、待ち合わせの約束にこだわらず、自治体の情報をもとに安全な場所へ避難する。移動できたら、使える方法で行き先を残す。
私たちの約束は、慌てたときに、何から考えるかを思い出すためのものでした。
電話が使えないときのために、小さな紙を持つ
いつもの方法が使えなかったら、次に何を試すのか。私たちはインターネットの災害用伝言板web171も確認し、離れた場所に住む息子にも約束を伝えました。
使える通信手段は、そのときの状況で変わります。息子に連絡すればすべて解決するとは考えず、1つの方法で届かなければ、別の方法を試せるようにしました。
最後に、連絡先と決めたことを書いた紙を、私は財布へ、妻はかばんの内ポケットへ入れました。電話の電池が切れると、画面の連絡先を見ることもできません。覚えているつもりだった息子の番号も、途中から言えなくなりました。
「今、気づいてよかったね」。妻はそう言って、紙を折りました。大げさな道具ではありません。それでも、その小さな紙には、2人で話して決めたことが入っていました。
無事を伝えるために、寝ている場所にも備えを
その夜、寝室で電話を充電しながら考えました。連絡できることは大切です。けれど、伝言を残す前に、自分の身を守れるようにしておきたい。
昼間の安否確認について話したことで、寝ている時間の備えを後回しにしていたことにも気づきました。そこで知ったのが、寝室に置く耐震シェルターベッド、TETUNOMA(鉄の間)です。
TETUNOMAは、強固な鉄のフレームで寝床の周りに生存空間を備えるための家具です。毎日使うベッドとして寝室になじみ、眠っている場所そのものに備えを加えます。
耐荷重試験では、最大131.7トンを記録しています。ジャンボジェット機ほどの重さをイメージできる強度ですが、実際の試験は大型の荷重実験装置で行っています。TETUNOMAは、命を守る可能性を高めるために、強度と構造を追求した製品です。
検討する中で、静岡県内の制度対象市町や三重県伊勢市では、補助対象製品として認められていることも知りました。利用できるかどうかは、地域や住宅、申請の条件によって異なります。
私は妻と、寝室の寸法を測りました。写真を眺めるだけでなく、自分たちの部屋でどう使うかを考えるためです。連絡の約束を作ったあと、寝ている場所にも目を向ける。それが、私たちにできる次の一歩でした。
つながっている今日のうちに、話しておく
妻が教室に出かける朝、私はまた「気をつけて」と言いました。その言葉は以前と同じです。でも今は、その先に2人の約束があります。
返事が来なくても、まず自分の安全を確かめる。使える方法で、短い伝言を残す。危険な場所へ、慌てて迎えに行かない。会いたいからこそ、お互いが無事でいられる行動を選ぶ。私は、そう考えるようになりました。
家族と連絡が取れないとき、誰に、どの方法で、何を伝えるか。電話がつながっている今日のうちに、一度話してみてください。連絡先を1枚の紙に書くところからでも、備えは始められます。
記事の内容について
登場する夫婦や家族、会話、出来事は創作であり、実際に被災した方や購入者の体験談ではありません。物語の年齢や生活の描写は、現実の暮らしにできる限り近づけて構成しています。製品写真は使用イメージです。TETUNOMAの試験値や171の利用案内など、実際の製品・サービスに関する情報は公表内容に基づいています。
