避難所に入れない時代が来る?災害関連死を防ぐために自宅でできること

避難所に入れない時代が来る?災害関連死を防ぐために自宅でできること

  • この記事でわかること

    • 南海トラフ地震で想定される避難所不足の規模
    • 日本の避難所が国際基準を満たしていない現実
    • 避難所生活で起きる災害関連死のメカニズム
    • 「避難所に行かない」という選択を支える自宅防災の考え方

    南海トラフ地震、避難者は最大950万人



    内閣府の被害想定によると、南海トラフ巨大地震が発生した場合、避難者は最大で約950万人に達するとされています。

    このうち、避難所への避難者は発災1週間後に最大約460万人。
    日本経済新聞の調査では、想定地域の避難所収容不足が少なくとも53万人にのぼることが報じられています。

    53万人という数字は、ひとつの中核市がまるごと行き場を失う規模です。

    さらに、津波警戒のために「巨大地震警戒」の臨時情報が発令された場合、事前避難の対象は全国で67万人を超えます。
    この事前避難だけでも「避難所が足りる」と回答した自治体は半数を割っている状況です。

    つまり、大地震が起きたとき「避難所に行けば大丈夫」という前提そのものが、すでに崩れ始めているのです。

    これは特定の地域だけの問題ではありません。
    南海トラフの影響範囲は東海から九州まで広がっており、太平洋側の主要都市のほとんどが含まれます。
    首都直下型地震の場合はさらに深刻で、東京都だけでも最大約339万人の避難者が想定されています。

    日経新聞の調査では、南海トラフ想定地域の自治体のうち「備蓄ゼロの物資がある」と答えた自治体が6割にのぼりました。
    避難所の箱だけあっても、中身が伴っていない現実があります。

    どこに住んでいても「避難所に入れない」可能性は、決して他人事ではないのです。


    国際基準を満たさない日本の避難所

    そもそも日本の避難所は、長期滞在を前提に設計されていません。
    多くの自治体では、指定避難所の大半が学校施設です。
    本来は教育のための場所であり、何百人もの被災者が何週間も暮らすことを想定した構造にはなっていません。

    避難所の「数」だけでなく、「質」にも深刻な課題があります。

    国際的な人道支援の最低基準である「スフィア基準」では、避難所の居住空間は一人あたり最低3.5平方メートルと定められています。
    これは約2畳分のスペースです。

    しかし、内閣府の参考資料によると、日本の避難所における一人あたりの平均収容面積は約2.54平方メートル。
    スフィア基準を大きく下回っています。

    東京新聞の報道では、「一人あたり最低2畳」を確保できると答えた自治体はわずか2割に留まりました。

    体育館の床で暮らすということ

    避難所の多くは、学校の体育館や公民館です。
    冬は底冷えする硬い床の上に薄い毛布を敷いて、隣の人との距離は数十センチ。
    着替えもできない、夜も眠れない、トイレに並ぶだけで1時間。

    2024年の能登半島地震では、1月の厳冬期に体育館での避難生活が始まりました。
    暖房は十分に行き届かず、高齢者が低体温症のリスクにさらされた事例も報告されています。

    給水車の派遣が遅れた避難所では生活用水がひっ迫し、手洗いやトイレの使用に支障が生じました。
    衛生環境の悪化により、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症が蔓延した避難所もあります。

    この環境が何日も、場合によっては何か月も続くのです。
    スフィア基準は紛争地の難民キャンプを想定して作られた「最低基準」ですが、日本の避難所はその最低基準すら満たしていないのが現実です。


    直接死より多い「災害関連死」という現実

    地震で亡くなる方の死因は、建物の倒壊や津波による直接死だけではありません。
    避難生活の中で体調を崩し、命を落とす「災害関連死」が深刻な問題になっています。

    熊本地震のデータ

    2016年の熊本地震では、死者276人のうち約8割にあたる218人が災害関連死でした。
    直接死の4倍以上の方が、地震の後に亡くなっているということです。

    その原因を見ると、「地震のショック・余震への恐怖による肉体的・精神的負担」が112人(40%)で最多。
    次いで「避難所等の生活における肉体的・精神的負担」が81人(28.9%)でした。

    年代別では、80歳代が34.4%と最も多く、70歳代以上が全体の約78%を占めています。

    能登半島地震のデータ

    2024年の能登半島地震では、さらに深刻な数字が出ています。
    死者672人のうち、災害関連死は444人にのぼりました。

    NHKの分析によれば、201名の調査で最初に身を寄せた避難所での体調悪化が68名(34%)で最も多く、次いで介護施設が66名(33%)、自宅が40名(20%)でした。

    避難所は命を守る場所のはずです。
    しかし現実には、避難所そのものが命を削る環境になってしまっている。
    これは決して見過ごせない事実です。

    高齢者だけの問題ではない

    災害関連死は高齢者に集中していますが、それは高齢者だけがリスクを抱えているという意味ではありません。

    プライバシーのない空間では、誰もが精神的に追い詰められます。
    限られた水と食事では、若い世代でも体力が急速に低下します。
    衛生環境の悪化による感染症は、年齢を選びません。

    避難生活の長期化は、仕事の喪失、人間関係の崩壊、精神疾患の発症など、生活基盤そのものを破壊します。
    こうした環境は、年齢を問わずすべての人の健康と生活を蝕んでいくのです。

    実際に、東日本大震災後の調査では、避難所生活を経験した人の約3割がPTSDの症状を示したという報告もあります。
    「命が助かったのだから」と我慢を強いられる環境が、静かに心身を壊していくのです。


    避難所に「行かない」という選択肢

    こうした現実を踏まえ、近年注目されているのが「在宅避難」という考え方です。

    自宅の安全が確保されているなら、避難所に行かず自宅で生活を続ける。
    これは決して消極的な選択ではありません。

    避難所の収容不足を緩和し、本当に避難所を必要とする方にスペースを確保する。
    自分自身も、プライバシーのある環境で体力と精神力を維持できる。

    内閣府も在宅避難を推奨する方向にシフトしています。

    在宅避難の前提条件

    ただし、在宅避難を選択するためには、いくつかの前提条件があります。

    まず、自宅の建物が倒壊していないこと。
    次に、寝ている場所が安全であること。
    そして、最低限の備蓄があること。

    食料や水の備蓄は、多くの方が意識しています。
    非常用持ち出し袋を準備している家庭も増えています。

    自治体によっては、在宅避難者への物資配布の仕組みも整備され始めています。
    避難所に行かなくても、支援物資を受け取れる体制が少しずつ広がっています。

    しかし、最も根本的な条件を見落としている方が少なくありません。
    それは「建物の中で、自分の体を守れる安全な空間があるかどうか」です。


    就寝中を守ることが、在宅避難の第一歩

    阪神・淡路大震災は1995年1月17日、午前5時46分に発生しました。
    冬の早朝、ほとんどの人が自宅で眠っていた時間帯です。

    死亡者の78.9%が自宅で亡くなっています。
    死因の77.0%が窒息・圧死でした。
    地震当日の午前中だけで、全死亡者の81.3%にあたる4,461人が命を落としています。

    備蓄より先に守るべきもの

    在宅避難を選択するうえで、最初にクリアすべき課題は「就寝中に建物が崩れても生き延びられるか」です。

    食料の備蓄は3日分あっても、地震の瞬間に命を失えば意味がありません。
    水を72時間分確保していても、倒壊した天井の下では飲むことすらできません。

    防災の優先順位は、まず「生き延びること」。
    その次に「避難生活を乗り越えること」です。

    備蓄や持ち出し袋は、生き延びた後に初めて意味を持ちます。
    順番を間違えてはいけません。

    発想の転換

    建物全体を守ることはできなくても、「自分の体がある場所」だけを守ることはできます。

    人生の約3分の1は睡眠に使われています。
    地震がいつ来るかは誰にも予測できません。
    しかし、就寝中に被災する確率が高いことは、阪神・淡路大震災の統計が証明しています。

    であれば、最も無防備になる「寝ている場所」の安全性を高めることが、最も合理的な在宅避難の第一歩ではないでしょうか。

    ベッドそのものが避難空間になるという選択肢があります。
    普段は上で普通に眠り、揺れを感じたら下に潜る。
    約6秒で避難が完了します。

    壁への固定も、床への工事も必要ありません。
    置くだけで設置でき、引っ越しの際にはそのまま持ち出せます。


    避難所に頼らない備えとしてのシェルターベッド

    避難所の収容不足は、今後ますます深刻になります。
    災害関連死のリスクも、データが示す通り決して小さくありません。

    であれば、自宅で安全に眠れる環境を作ることが、最も現実的な防災投資ではないでしょうか。

    TETUNOMA(鉄の間)は、就寝スペースそのものを耐震シェルターに変える製品です。


    普段はベッドの上で眠り、地震が起きたら下の空間に約6秒で避難します。
    120トン以上の荷重に耐える構造用鋼材が、倒壊した建物の下でも生存空間を確保します。

    避難所に行く必要がなくなるわけではありません。
    しかし、地震の瞬間を生き延びることができれば、その後の選択肢は格段に広がります。

    在宅避難を続けるにしても、まずは地震の瞬間を無傷で生き延びることが前提です。
    避難所の問題を知り、自宅での備えを選ぶ人が増えています。
    その選択を、確かな構造で支える手段がここにあります。


    避難所に行くのか、在宅避難を続けるのか。
    その判断ができるのは、生きている人だけです。



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