子どもが生まれて、地震が他人事ではなくなった。耐震シェルターベッド「TETUNOMA」を作った理由
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はじめまして。日心製作株式会社の代表を務める、山下です。私たちは奈良県を拠点に、「寝床に備えを加える家具」の企画・製造を行っています。
今回は、なぜ私たちが耐震家具ブランド「TETUNOMA(鉄の間)」を立ち上げたのか。
製品のスペックだけでは伝わらない、私自身の原点と、モノづくりに込めている想いについてお話しさせてください。
子どもが生まれて、地震が「他人事」ではなくなった
正直に申し上げると、以前の私は、テレビで震災のニュースを見ても、どこか遠い場所で起きている出来事のように感じていました。
日本に住んでいる以上、「いつか大きな地震が来るかもしれない」ということは分かっています。でも、自分の日常が突然奪われるかもしれない。
そこまで現実的に考えることはありませんでした。その意識が大きく変わったのが、子どもが生まれたときです。
自分よりも大切で、自分が守らなければならない小さな命。
子どもが生まれて「守られる側」から「守る側」になったことで、地震に対する見方が大きく変わりました。
夜、子どもの寝顔を見ながら考えたこと
当時、私たち家族は築年数の経った住宅で暮らしていました。夜、子どもが安心しきった顔で眠っている。その姿を見ながら、ふと考えました。
「もし今、大きな地震が起きて、この家が崩れてきたらどうなるんだろう」子どもを抱いて逃げられるだろうか。
真夜中だったら。停電したら。自分自身も寝起きだったら。家そのものが崩れたら。考え始めると、「大丈夫だろう」
では済ませられなくなりました。震災のニュースを見るたびに、「もし自分の家族だったら」と考えるようになったのです。
この経験が、TETUNOMAの原点になっています。
「家全部を直せない人でも、命を守る方法をつくれないか」
住宅そのものの耐震性を高めるなら、耐震診断を受け、必要に応じて耐震改修を行うことが基本です。しかし現実には、費用。工事期間。建物の状態。今後その家に何年住むのか。さまざまな事情があり、誰もがすぐに大規模な耐震改修をできるわけではありません。
だから私は考えました。
家全体を補強するのとは別に、人がいる場所そのものを強くする方法はつくれないだろうか。そして、せっかく家の中に置くなら、普段は使わない巨大な防災設備ではなく、毎日の暮らしの中で家具として使えるものにしたい。その二つを両立させようとしたことから、TETUNOMAの開発が始まりました。
鉄家具づくりの経験を、すべて注ぎ込む
私は工業製品のエンジニアを経験した後、デザイン家具メーカーとして独立しました。これまで200種類以上の家具を設計し、1万人以上のお客様へ製品を届けてきました。
鉄をどう組めば強くなるのか。どうすれば搬入できるのか。どうすれば毎日使いたくなる家具になるのか。長年積み重ねてきた、鉄家具の設計と製造の経験。
そのすべてを、「命を守るための家具」に使おうと考えました。2022年から、協力会社や専門家の力を借りながら、設計。試作。強度試験。改良。打ち合わせ。これらを何度も繰り返してきました。最初から完成形ができたわけではありません。
試験結果を見て、構造を見直し、また試験する。その繰り返しの中から、TETUNOMAはつくられていきました。
「頑丈です」という言葉だけでは、命を預かる製品は売れない
TETUNOMAで特に大切にしてきたのが、強さを言葉だけで終わらせないことです。「頑丈な鉄骨です」「強いベッドです」

そう言うだけなら簡単です。でも、人の命に関わる製品をつくる以上、それでは足りません。
一級建築士でもある建築学教授2名の立会いのもと、専用の大型油圧試験機で耐荷重試験を行いました。センサーやモニター、映像で荷重と変形を確かめ、最大131.7トンを記録しました。
設計や計算で終わらせず、実際の試験で強さを確かめる。眠っている人の周囲に、命を守るための空間を残したい。その想いを、鉄の構造に込めています。
さらに、数値だけではなく、家屋倒壊を想定した実験も行ってきました。「実際に家が壊れたとき、人がいる空間を残せる構造とは何か」
そこから逆算して、製品をつくっています。

強さだけでは、毎日使える家具にはならない
もう一つ、どうしても妥協したくなかったことがあります。それが、デザインです。耐震シェルターだからといって、大きくて無骨。部屋の中で浮いてしまう。毎日見るたびに「防災設備だ」と感じる。そんな製品にはしたくありませんでした。
TETUNOMAは、人生のほとんどの時間ではベッドとして使います。だから、普段の99%は、美しい家具として暮らしに馴染む。
もしものときには、人を守るシェルターになる。そんな製品を目指しました。
余計な装飾を削ぎ落としたミニマルな形。洋室にも和室にも合わせやすいモノトーン。
そして表面には、細かな粉体塗装を施し、180℃の窯で焼き上げた、落ち着いた「くすみ」の質感を採用しています。
シェルターであることを忘れるくらい、普通に暮らしの中で使えること。それもTETUNOMAの重要な性能だと考えています。
子どもの寝顔を見ながら欲しかった、寝床の備え
TETUNOMA(鉄の間)は、強固な鉄のフレームの内部に布団やマットレスを敷き、普段からその中で眠る耐震シェルターベッドです。いつもの寝床に、命を守るための強い空間をつくります。
子どもが生まれた私自身が欲しかったのは、毎日眠る場所に最初から備えがあることでした。いつもの夜も朝も、家族が過ごす寝床の周囲に強固な構造がある。その形を、家具としてつくりました。
本当に家庭へ置けるものにする
どれだけ強くても、家に入らない。毎日使いにくい。特別な工事が必要。それでは、多くの家庭に届けることはできません。
そこでTETUNOMAは、強度を保ちながら、複数のユニットに分割して搬入できる構造にしています。1パーツは15kg以下など、住宅へ運び込みやすい重量に分割。
玄関や廊下、階段を通して搬入し、寝室で組み上げることができます。一般家庭で現実的に使えることまで含めて設計しています。
品質に妥協しないため、奈良でつくる
命に関わる製品だからこそ、「強い設計図がある」だけでも足りません。実際につくられた一台一台が、設計した品質になっている必要があります。
TETUNOMAは、国際規格認証を持つ奈良県内の工場で、職人が製造しています。鉄の加工。溶接。塗装。寸法確認。
組立。出荷前の確認。一つひとつの工程を積み重ねて、お客様へ届けます。私たちが売っているのは、単なる鉄製家具ではありません。
「もしものときに、この空間に家族がいるかもしれない」という製品です。だから、品質管理に妥協するつもりはありません。
私たちだけが「安全です」と言う製品にはしたくない
開発当初から、メーカーである私たち自身が「これは安全です」と言っているだけの製品にはしたくないと考えてきました。
TETUNOMAは現在、静岡県が推進する地震対策事業「TOUKAI-0+」の補助対象製品として認定されています。
認定日は2026年8月4日です。奈良市とも協議を重ね、ふるさと納税の対象にもなっています。少しずつですが、行政。専門家。製造現場。そして実際に購入してくださるお客様。さまざまな方の協力を得ながら、TETUNOMAを育てています。
日本の家具に「命を守る」という役割を加えたい
日本には、美しい家具がたくさんあります。便利な家具もあります。寝心地のいいベッドもあります。そこに、「万一のときに、人の命を守る」という新しい役割を持つ家具が、もっと当たり前にあってもいいのではないか。私はそう考えています。防災用品を押し入れの奥にしまっておくのではなく、毎日使う家具そのものが備えになる。そして、家族が眠る場所に、強い空間がある。そんな暮らしを、日本の新しいスタンダードにしたい。
子どもの寝顔を見て感じた不安を、形に変える
TETUNOMAの開発は、最初から大きな事業をつくろうと思って始めたものではありません。原点にあったのは、「自分の家族を守りたい」という、とても個人的な気持ちでした。でも製品をつくり始めると、同じように、「子どもを守りたい」
「高齢の両親が心配」「築年数の古い家で眠るのが不安」と感じている方が、日本中にたくさんいることを知りました。
だから今は、自分の家族だけではなく、一人でも多くの人が、安心して眠れる場所をつくりたい。そう考えています。
日本の安心を、耐震家具でつくる。それが、日心製作の使命です。そしてTETUNOMA(鉄の間)は、私自身が家族を持ったことで感じた地震への不安を、鉄と構造とモノづくりの力で、具体的な「備え」に変えた製品です。
毎日眠る場所に備えを加える家具
寝床に倒壊物への備えを加える強く、美しい"空間"を。
耐震シェルターベッド『TETUNOMA(鉄の間)』
私たちは、寝床に備えを加える家具を作っています。
日心製作株式会社
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いつもの寝具で眠り、寝る前は本を読んでくつろぐ。写真と実物映像を見ながら、あなたの寝室に迎えた姿を思い描いてみてください。
